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『広告のクロノロジー』

  • 2010-01-10 (日) 16:38
  • 書評
広告のクロノロジー―マスメディアの世紀を超えて―
広告のクロノロジー―マスメディアの世紀を超えて―
  • 著者: 難波功士
  • 発売元: 世界思想社
  • 発売日: 2010/01/02
  • 売上ランキング: 5503

などで知られる、難波 功士の著作。戦前―戦中―戦後の広告業界の動向を、一次・二次資料に丁寧にあたりながら紐解く。また著者が関西出身ということもあって、関東と関西の広告業界の比較、というのも面白い。

本書はその大部分をマス広告の分析に割いている。いわゆる四マスと呼ばれる、ラジオ・新聞・テレビ・雑誌の広告とそれらをめぐる広告業界の動向が中心となる。

一読して感じたのは、広告に対する「批評」という行為の難しさだった。「ブランディング」という言葉が、その効果の不明瞭さと引き換えにある種の神秘性を纏っていた時代は、終わってしまったのかもしれない。広告主がより一層費用対効果を重視する時代にあって、「広告」と「販促」の差が不明瞭になりつつあるというよりは、販促が広告の領域を侵食しているといった方が正しい。

こうした状況下で、「広告を批評すること」は極めて難しくなっている。特にインターネット上の広告は、消費者の行動を追跡したり、ユーザーの属性に合わせた広告の表示が技術的に可能であり、それらのデータに基づく効果測定・検証は、どんな批評より広告主・メディア・消費者の関係性を適切に可視化しうる。もちろん、広告主と消費者の間を何らかのストーリーが存在し、そこに広告が入りこむという考え方は今でも健在だが、その主役はソーシャルマーケティングに移りつつあり、そしてそれはかつての広告が成しえなかった、双方向的な関係に基づくストーリーという役割を担わされている。広告を語ることがすなわち企業と消費者、社会と消費者の関係性を語ることであったのは、実にある時代特有のものだったのだろう。

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