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加速する残像

実践! 自サイト改善記録(2) zenbackとfacebook likeボタンの導入

zenback」とfacebookのlikeボタンをこのブログに導入した。zenbackはエントリの記事下に

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を表示するブログパーツ。「Movable Type」などで知られるシックスアパートがリリースし、7月からベータ版の配布を行っている。
facobookのlikeボタンは、facebookの「いいね」ボタンを外部ブログにも設置できる。wordpressのプラグインを利用した。これらのブログパーツやプラグインは、6月に書いた「実践! 自サイト改善記録(1) サイトコンセプトと改善の方向性の明確化」で行ったアクセス解析結果に基づいて導入を決めた。

zenbackの役割

(1)新規読者増加

上記エントリでは、新規読者増加のために以下のような目標と施策を挙げた。
  • 目標:検索エンジンからの流入数増加
  • 施策ポイント:SEO
  • 目標:Twitterからの流入数増加
  • 施策ポイント:コンテンツにあったフォロワーの獲得・Tweetタイミングの工夫・記事をTweetしやすくする仕掛けの用意
  • 目標:ソーシャルブックマークからの流入数増加
  • 施策ポイント:はてなブックマークに追加しやすくする仕掛けの用意・はてブされている記事の紹介
zenbackはこのうち2番目と3番目の施策ポイントの強化につながる。記事下のTweetボタンとはてブ追加ボタンが1つのブログパーツで導入できる。

(2)読者の定着

またブログ内の関連記事を表示する機能は、読者の定着のために挙げた以下の目標と施策に合致する。
  • 目標:1訪問あたりのPV増加
  • 施策ポイント:直帰率の改善・滞在時間の向上・過去のコンテンツへの回遊率上昇
まだこのブログ自体のコンテンツ量が少ないのだが、今後エントリ数の増加とともに回遊率が向上することを見込んでいる。特にエントリーを書いていない時期のアクセス、つまり過去エントリへの検索エンジンからのアクセスについて直帰率が80~90%と高いので、ここが改善されることを望んでいる。

facebook likeボタンの役割

導入に際してこのエントリーを参考にした。
WordPressにFacebookの「Likeボタン」を設置するプラグイン『Like』 – IDEA*IDEA ~ 百式管理人のライフハックブログ
facebookからのトラフィックはこのブログ上ではまだあまり感じられない。そのためfacebookからの読者がどういった動きをするのかは分からない。ただ「いいね!」ボタンのクリックが自分の興味を引くコンテンツに対して行われ、かつそれが他の読者に周知されるものだとすれば、はてなブックマークと同等の機能と見ていい。6月のアクセス解析でははてなブックマークも新規ユーザーの来訪率が高かったので、ひとまずこの「いいね!」ボタンも新規ユーザーの来訪につながると見込んでいる。

zenbackとlikeボタン導入で見込まれるデメリット

機能的には魅力的なzenbckとlikeボタンだが、サイトの表示速度に対してネガティブな影響を及ぼすことは想像に難くない。そのためこれまで入れていたTwitterの@anywhereプラグインを一度外した。利用されている頻度が非常に低かった上に、Twitterの@anywhereシステム自体が不安定で表示速度に難があったからだ。zenbackも決して表示速度が速いとは言い難く、@anywhereプラグインの機能を完全に代替しうるものではないのだが、zenback一つで複数の機能が実装できるため、こちらを優先した。今後GoogleのWebマスターツールで表示速度の変化を注視したい。

ブログはなくならない CMS・モジュール・ブログの関係

TwitterやUstreamによるリアルタイムなメディアの発達が喧伝される一方で、商業サイトでもBLOGOSなどブログメディアは今も立ち上がり続けている。また「Publickey」というブログは、エンタープライズ向けITというニッチな分野ながら月間30万PVを生み出し、個人ブログの域を超えつつある。Web2.0という言葉がほぼ死語と化した後でも、こうしたブログメディアが発展を続けるのは、CMSの重要性が今も変わっていないことを意味している。

サイト運営の上流プロセスを司るCMS

CMSの機能

CMSは「コンテンツマネジメントシステム(Content Management System,CMS)」の略であり、「Webコンテンツを構成するテキストや画像などのデジタルコンテンツを統合・体系的に管理し、配信など必要な処理を行うシステムの総称」である。(コンテンツマネージメントシステム-Wikipedia )Webサイトの運営者はこのシステムを通じてコンテンツ作成やサイトデザインの調整を行う。CMSのインターフェースはコンテンツの作成・管理やサイトのデザインの更新・管理に特化しているため、運営者はhtmlやCSSといったWebサイトの構造に関わる知識がなくともコンテンツを作成できる。


Webサイトを運営する際、重要なのが
  1. 「外部からいかにユーザーを獲得するか」
  2. 「訪問してきたユーザーをいかにサイトの目的に沿って動かすか」
である。
1.「外部からいかにユーザーを獲得するか」は、会員制SNSなどクローズドなサイトを除けば、ほぼSEOとイコールだ。検索エンジンからのトラフィックは、個人サイトでもサイトでも企業サイトでも高い割合を占める。おそらく今後もその傾向は変わらないだろう。
2.「訪問してきたユーザーをいかにサイトの目的に沿って動かすか」は、サイトナビゲーションの設計ということになる。ここでいうサイトナビゲーションは、ナビゲーションバーの見せ方だけではなく、コンテンツの粒度設計やページ遷移構造など、サイト内におけるユーザーのアクション全般に関わる要素を指す。

CMSの重要性

サイトの外に向けた施策とサイトの中における施策。これら2つの要素は、サービス・メディア・個人ブログなどどういった形態のサイトを運営する際にも重要である。そしてCMSは、これらの要素を決定するプロセスの上流に存在する。内部リンクの構築やコンテンツタイトルの仕様、metaタグの設定など、SEOにおいて重要な要素は、CMSによってほぼコントロールできる。逆にいえば、CMSでこうした要素のコントロールが一括してできない場合、個別のページに対して逐一手を加える必要があるわけで、日常的な運用の中で大きな負荷になる。
カテゴリの設定やナビゲーションバーの構築、ラベリングなど、サイトナビゲーションにおいて重要な要素もまたCMS上でコントロールすることになる。いずれにしろ、既存のコンテンツを一括でコントロールし、新規コンテンツを特定の仕様のもと生成するためには、CMSは常に起点となる存在である。

CMSとモジュールの関係

CMSとその概念が普及したのは、ブログの流行と一体である。ブログは、「サイトのソースに触れることなくコンテンツの更新を行える」(内容と構造の分離)というCMSの特徴によって誕生し、爆発的に普及した。さらにブログ用CMSは、モジュール化という魔法にかかっている。モジュール化こそ、CMSにおける最大の武器であり、魚が陸上に上がり進化するための一歩であった。
モジュールとは、相互に独立した機能を持ちつつ全体を構成する要素のことだ。モジュール同士の関係性を決定する上位規定が存在し、モジュールはその規定通りに作用する。逆にモジュールはその規定に従えば、その中身はどういった機能を持っていても全体で動作可能に設計されている。
モジュール化は、イノベーションの良き隣人である。IBMが1980年代、PCのモジュール化により市場の仕組みを変え、その後自らが引き起こしたイノベーションによって市場から淘汰される結果になった例は有名だ。

モジュール化とボトムアップ

またモジュール化したシステムは、ボトムアップ型の組織とも相性が良い。開発から60年経過してなお、世界中の紛争地で第一線級の武器として使われている銃「AK47(カラシニコフ)」(およびその系統)がその好例である。AK47は細かい部品をひとまとめにしたパーツの集合体である。モジュールとそれを統一するフレームでできている。これらは接続部分にねじを使っていない。どういう状況でも、簡単に脱着・修理が容易だ。それまでの小銃は修理に専門的な知識や経験が必要だった。モジュール化することで、知識や経験のない現場の兵士でも(兵士でなくても!)その場で修理が可能になり、ゲリラなど正規の軍隊訓練のノウハウがない組織にも広まった。カラシニコフを持ったゲリラに襲われた少年少女が、戦闘員として組織に入れられ、カラシニコフを渡され数日の訓練の後、ゲリラとして襲撃に加わるという連鎖もこのモジュールの持つ特徴が1つの要因である。

ブログとモジュール

ブログ用CMSもまた、Wordpressなどを筆頭に、オープンソースによるモジュール化がなされている。モジュール化によりユーザーが専門的な知識を持つことなく様々な機能を使うことができるようになった。また技術者は自分でモジュールを作成することもできる。コンテンツを作り情報を発信する者・システムを作る者の両面でモジュール化はボトムアップを促した。「外部からのユーザー獲得」「サイト内部で目的通りにユーザーを誘導する」というミッションが今後もサイト運営において重要視される以上、CMSの重要性は変わらない/増していくだろう。そしてCMSの特性に支えられたブログという情報発信スキームもまた、依然として重要であり、発展する余地がある。

実践! 自サイト改善記録(1) サイトコンセプトと改善の方向性の明確化

先日のエントリで紹介した楽天・清水さんの自サイト改善を参考にして、少しずつこのブログのアクセス解析と改善の実践を図っていきたい。
「解析しないと!アドビになったよ第一弾スペシャル」に行ってきたよ!
今回のエントリではこのサイトのコンセプトを確認し、そのうえでどのような方向に改善していくのか、明確にしてみようと思う。

サイトコンセプト

このブログは、コンテンツとして以下の3つを軸にするつもりで作った。
  1. 仕事関係で読んだ本のログ
  2. 参加したイベントのレポート
  3. 新しいメディアに関する考察
これに加えて、このサイト自身のアクセス解析実践例を載せていくつもりだった。
以上をさらに細分化して、実際のサイトカテゴリに落とし込んだのが、今実際に使っているカテゴリーだ。
  • 電子書籍
  • Webメディア
  • Twitter
  • イベントレポート
  • 広告関連の書籍
  • アクセス解析
現状、コンテンツの数が少ないので、カテゴリ単位での細かい分析はできないが、「WordPress」カテゴリは上記のコンセプトとも少し異なるし、Google Analyticsで計測した平均滞在時間もかなり悪かったため、はずすことにした。

現状分析のポイント

コンセプトを絞った。あとはブログをより多くの人に読んでもらうために大事な要素を洗い出す必要がある。いろいろあるとは思うのだけれど、ブログという形式も考えて以下の3つとした。
  1. 新規読者の獲得
  2. 読者の定着
  3. 「読者を呼ぶ読者」の獲得
これらの目標はさらにいくつかのサブ目標に分割される。

1.新規読者の獲得

新規読者を増やすには、どういった経路が最も新規の読者を獲得しやすいのかというデータが必要になる。そこで、Google Analyticsを使ってリファラごとの新規・リピートの割合を調べてみた。GAのメニューから「トラフィック」→「すべてトラフィック」→「ユーザーの種類」でフィルタして、データをCSVでエクスポート。VLOOKUPその他をもろもろ用いて、リファラを分類し以下のようなバブルチャートを作った。X軸に新規ユーザーの割合、Y軸にリピータユーザーの割合、バブルの大きさは合計セッション数である。
リファラごとの新規・リピート分布
このデータから見ると、新規ユーザーの割合が多いのは検索エンジン・Twitter(twitter.com、Hootsuiteなど。クライアントからのアクセスは「参照なし」扱い)だということが分かった。また、ソーシャルブックマークからのアクセスも普通は新規ユーザーからのアクセスが増えるはずなのだが、今のところそもそも絶対値そのものが少なすぎる。というわけで、「新規読者の獲得」に関しては、以下のような指標と施策ポイントが設定できる。
  • 目標:検索エンジンからの流入数増加
  • 施策ポイント:SEO
  • 目標:Twitterからの流入数増加
  • 施策ポイント:コンテンツにあったフォロワーの獲得・Tweetタイミングの工夫・記事をTweetしやすくする仕掛けの用意
  • 目標:ソーシャルブックマークからの流入数増加
  • 施策ポイント:はてなブックマークに追加しやすくする仕掛けの用意・はてブされている記事の紹介
これらの他にもおそらく打てる手はいろいろあるのだと思う。Twitterやはてブは、こうしたポイントを意識しつつ使う側に回ることにしたい。

2.読者の定着

読者の定着という目標は、大きく2つのサブ目標に分けられる。
  1. エントリをきちんと最後まで読んでもらい、他のエントリを読んでもらうことでこのブログ自体のことを良く知ってもらう
  2. 上のプロセスを踏んだ上で、実際にリピーターになってもらう
1番目の目標に対しては、1訪問あたりのPVを増やすための施策を行うことになる。2番目の目標に対しては、1UUあたりのセッションを増やすことになる。そこで考えられる施策のポイントは、以下のようになる。
  • 目標:1訪問あたりのPV増加
  • 施策ポイント:直帰率の改善・滞在時間の向上・過去のコンテンツへの回遊率上昇
  • 目標:1UUあたりのセッション増加
  • 施策ポイント:RSS購読数の増加・サイト名での検索数の増加
サイト名での検索数は、ブラウザのブックマークからのアクセスとほぼ同義だ。Google Analyticsで見たデータでも、サイト名で検索してくれたユーザーはリピータの比率が非常に高い。RSS数の増加は、手動で定点観測の結果を記録する必要があるようだ。今現在の登録者数は分かっても、時間軸での推移を教えてくれるツールが意外にない。

3.「読者を呼ぶ読者」の獲得

いわゆる「エンゲージメントの確立」とやらだが、なかなか難しい。単にソーシャルメディアでバイラルしてもらうことを目標にするならば、「1.新規読者の獲得」で挙げたTwitterやソーシャルブックマーク周りの目標・施策を流用すればいい。だが定期的にそうやってTwitterでRTをしてもらったり、自分のブログで紹介してもらうようになるには、単にツールの使用環境を整備するだけでは不十分だろう。
先日、池田紀行氏の『キズナのマーケティング』の感想をエントリとして挙げたが、ソーシャルメディア周りのツールを整備することは、短期的な効果を狙った「バズ・バイラル型」の方向性となる。一方、Twitter上でのコミュニケーション等を用いた「アドボカシー型」の方向性は、長期的な効果を狙ったものだとされている。ただし、後者でも個人のブログ程度なら、ある程度短期での効果を見込める可能性があると思っている。実際、あるトピックに関してTwitter上でのやりとりをして/見て、それがきっかけとなってその人のブログにたどりついたことは僕自身何度も経験がある。大規模商用サイトでは効果の見えづらい話だが、個人ブログでなら効果測定が可能かもしれない。そしてこの手の事例は、実際のブログの中身に独自性があって、書き手自身がその領域に関してきちんと理解している場合が多い。そのため、ソーシャルメディア周りのツールを整備すること以外には、以下のようなサブ目標と施策のポイントが設定できる。
  • 目標:ブログやソーシャルメディア上で、定期的に紹介してもらう
  • 施策のポイント:ユニークでかつ確度の高いエントリーを挙げる・自分の分野に関するコミュニケーションを(ネット・リアル問わず)増やす

次回:施策の実施

今回はブログのコンセプトを確認し、今後どのような方向に向かって改善していくのか、その目標と実践のポイントを洗い出してみた。次回以降、このエントリに従って、実際に改善策を実行してみることにする。

「解析しないと!アドビになったよ第一弾スペシャル」に行ってきたよ!

テストという共通言語

Omniture(現Adobe)の安西さんが主催する、アクセス解析の勉強会「解析しないと!」第2回が今週の月曜日(6/7)にあった。前回は安西さんの「私的勉強会」だったのだが、今回はAdobeの公式ということになったらしい。
ウェブ解析をサイトの中心に据える時に、サイト運営者とサイト制作者は何を考え、どう歩み寄るのか?とかそんな感じです。私も含めゲストの方にも少しずつプレゼンして頂きながら、後半はパネルやる予定です。
安西さんのブログ:解析しないと!やります!
同 Twitter @ank
場所がAdobeのSC5プロモーション用限定スタジオということもあって、ウェブサイトを作る側から見たアクセス解析という色が強かった。ゲストのぐるなびウェディング・舘田さんと楽天・清水さんの話を以下簡単にまとめておく。

「作り手と企業のエンゲージメント」byぐるなびウェディング舘田さん

  • 顧客と企業の絆づくり(エンゲージメント)が重要といわれている
    • でもウェブサイトを発注する側と受注する側の絆がまず必要。
  • 受注側:クリエイティビティを言語化しにくい。
  • 発注側:費用対効果を定量化しにくい。
    • これらを可視化するためのアクセス解析。
  • テストの結果を通じて、受注側と発注側が共通の認識をもってプロジェクトを進められる。

「製作者にとってのWeb解析」by楽天 清水さん

  • ウェブサイトの構築段階では設計者による仮説立案とその検証プロセスがある。
    • 納品するとそのプロセスが見えなくなる。
    • 積もり積もって大きなインシデントが発生してから根本的な問題が見つかる。
    • 目先のトラブルを解決するために部分最適の解決になりがち。
  • 納品物は未完成。仮説を検証しながら修正していく。
  • 設計する際、ワイヤーフレームからいきなり作ってしまう。
    • 困ったらユーザシナリオに。さらに困ったらペルソナに・・・という形でウォーターフォールを逆流して行く。
  • 設計時に自信のある仮説とそうでない仮説を分ける。そうすることでテストがしやすくなる。
  • 上手に作るノウハウから目標達成のノウハウへ。そうするとモノ作りを手離れしても検証と最適化が残る。
開発と運営の間にできがちな溝を、仮説・検証という共通言語でもって架橋していきましょうというのが二人に共通した話だった。清水さんが終盤「アジャイル」という言葉を使ったが、まさにこれに尽きると思う。そしてアジャイルはコミュニケーションコストがかかる。そのため、テストのプロセスで自動化できる部分は徹底して自動化する必要が出てくる。速度と精度の向上にもつながる。

このブログのリニューアルを実践例としてみる

清水さんが「解析しないと!」で使った講演資料は、以下から読むことができる。

http://www.cms-ia.info/products/adobe-station-5/

ここで面白かったのは、事例として紹介されているのが清水さん自身が運営するウェブサイトの改善だったことだ。自分のサイトでここまで戦略的にやるという人は見たことがなかった。だが自分の手元で手軽にやれるアクセス解析の実践としては、最も適した場の一つではあると思う。

そこで、僕もこのブログの改善を今後ブログエントリーとして残し、一つのプラクティスとしたいと思う。そもそもわざわざ自分でドメインを借りてWordPressをインストールしたのは、Google Analyticsを使って漸次改善を図っていくブログにしたかったからだ。「加速する残像」というブログの名前も、実はそこから付けた。ちょうどブログを作って半年が経つ。今月は、上記の清水さんのやり方やその他これまで見聞きしたやり方を用いて、ブログのリニューアルをしてみたいと思う。それをエントリーにすれば、さらにアクセスも増える、かも。

池田紀行『キズナのマーケティング』

キズナのマーケティング ソーシャルメディアが切り拓くマーケティング新時代 (アスキー新書)
キズナのマーケティング ソーシャルメディアが切り拓くマーケティング新時代 (アスキー新書)
  • 発売元: アスキー・メディアワークス
  • 価格: ¥ 840
  • 発売日: 2010/04/09
  • 売上ランキング: 2709
「ソーシャルメディアは魔法の杖ではない」。この言葉がソーシャルメディアマーケティングを手掛ける会社の社長によって書かれた本に載っている。これだけで救われるマーケティング担当者はずいぶん多いのではないか。よくわかってない上司から「コストをかけず短期間で」ソーシャルメディアでなんかしましょう、というヨタ話をひっかけられている現場の人間にとって、こうした本は銀の弾丸となる。この本の77ページ目にある冒頭の句をコピーして突きつければ良い。それで話はいったん終わる。

ソーシャルメディアマーケティングの役割

本書はまず既存のメディアとソーシャルメディアをマッピングし、その役割の違いを語る。よくあるソーシャルメディアに関する誤解は以下の2つだ。
  • 認知度の向上ができる!
  • ユーザーの情報をコントロールできる!
いずれも間違い。認知度の向上は依然としてマスメディアに広告を打った方が早いし、ユーザーの情報のコントロールは広告枠を買うか、さもなくば自分でメディアを立ち上げるかした方が早い。
池田氏はソーシャルメディアマーケティングに期待できる役割を2つに絞っている。

バズ・バイラル型

短期的な口コミの拡散を狙う。ただし先のとおり認知度を上げたいだけならばマスメディアに勝ち目はない。あくまで企業が仕掛けた何らかのキャンペーンが拡散するのを狙う。事例として挙げられているソニーのハンディカム「Cam with me」も、共感を呼びやすいようにうまく作られたキャンペーンが、「泣ける!」という触れ込みでバイラルしたものだった。今後はクロスメディアや既存のキャンペーンの最大効率化を狙った形になっていくだろうと池田氏は予測している。

アドボカシー型

中長期的な「キズナ」の構築を目指す。企業と消費者の間に、信用・理解・ロイヤリティ・関与・共感といった関係性を構築していく。消費者との何らかの「対話」を通じてこうしたキズナを作っていく。かなり手間はかかるし効果がすぐに見えるものではないが、こうした努力でしか成しえない結果がどこかであらわれてくるものでもある。

ソーシャルメディアマーケティングの効果測定

以上2つの役割を果たすには、さまざまな手段があるが、いずれにしても「やりたいからやってみる」「やったらやりっぱなし」では意味がない。何らかの効果測定の手段が必要になる。池田氏は「費用対効果」と「投資対効果」という言葉を使い、1回あたりの施策に対し明確な効果を見ていく必要がある「費用対効果」の施策に対し、「投資対効果」はそれまで積み上げた施策の回数によって、効果がストックされていくものだと説明している。コーポレートCMやソーシャルメディアマーケティングは後者の「投資対効果」を計測すべきだという。そのため、ソーシャルメディアマーケティングにおける詳細な効果測定はなかなか難しいとしている。
それでも池田氏は効果測定のための「指標づくり」を試みている。KPIという言葉にならって「KCI=Key Communication Indicator」という言葉を提案している。どれだけ顧客と会話が図れたか、どういった評価がそれによって得られたのか、そうした結果について共通の指標を作ったうえで、記録していく。ツールも今のところバラバラと存在している状態なので、かなり手間はかかりそうだ。あくまで顧客との関係性構築を目指すのが良いとはいえ、何らかの数値的なアリバイが要るという現場のジレンマを受けた、なかなか苦しい個所ではあったと思う。

「友達になってください」とは申し込まない

顧客とのキズナ。エンゲージメント。マーケッターならずとも耳にすることが増えた言葉。しかしこれらの言葉は、単に財やサービスを生産し販売する「売り手」と、それらを購入する「買い手」という関係性の構築がすでに飽和状態にあるという状況から出てきた言葉なのだと思う。売り手と買い手の間に、もうリンクは十分な数作られた。そしてその数はもうそうそう増えない。とすればあとはリンクの中身を良くすることで、まずリンクを減らさないようにする必要がある。
しかしキズナやエンゲージメントといった言葉は、関係性を表す言葉であり、つまり何かのコミュニケーションの「結果」でしかない。「友達になってください」という申し込みから始まる友情がそうそう無いように、関係性の構築を目的に始まったキズナづくりが上手くいくとも思えない。広報やサポート、そういった部分での結果として、キズナやエンゲージメントといったものが可視化されるのだろう。そしてそれらは今ソーシャルメディアによって発見された概念ではない。「スマイルゼロ円」ではないけれど、飲食店のように数の飽和した領域では、製品以外での付加価値創出のために(徹底した労働感情の訓練の下)、こうした関係性の構築が図られてきた。ただウェブをメインに行動を起こすことで、こうした関係性が可視化しやすくなったのは確かだと思う。いずれにせよ、キズナづくりのためのキズナづくりは、空回りに終わるのだろう。

「マトグロッソ」とフリー戦略の行方

限定されたアクセス手段

Amazon.co.jp内に奇妙な「Web文芸誌」が誕生した。イースト・プレス社が今日から運営・創刊を始めた「マトグロッソ」である。

マトグロッソはポルトガルで「深い森」を意味する言葉で、思想家の内田樹さんが命名。森見さんの新作「熱帯」のほか、国立国会図書館の長尾真館長と作家の円城塔さんの対談、作家の伊坂幸太郎さんがその日に楽しんだCDなどを紹介する連載、漫画家・萩尾望都さんのSF小説などを掲載する。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1005/24/news076.html

確かに執筆陣の名前を見ると豪華そうに見える。しかしWebサイトとしての構造はとても奇妙だ。http://matogrosso.jp/ に直接アクセしようとすると、Amazonの「文芸・評論」カテゴリページ( http://www.amazon.co.jp/b/?ie=UTF8&node=466284 )にリダイレクトされてしまう。カテゴリページの右にあるバナーからでないとアクセスできない。りファラーを見てリダイレクトをかけているようだ。TwitterでうっかりURLを流したのだが、僕のフォロワーは何のことだかさっぱり分からなかったことだろう。

奇妙なのはアクセス手段だけではない。「文芸誌」と銘打っているものの、本文はほとんどが画像でできている。要は本文をコピペできない。RSSはあるらしい(2010/05/24 23:15修正 RSSフィードからもAmazonへリダイレクトされる)。

グーグルで「マトグロッソ」というキーワードで検索しても、検索結果にhttp://matogrosso.jp/そのものは表示されない。一応、コンテンツの画像にaltタグで説明は入っているのだが、リダイレクトがかかっていれば検索エンジンで見つけても意味がない。

成功した「フリー」と失敗した「フリー」

http://accelerated-afterimage.com/2010/03/日経新聞「web刊」とリンクエコノミー/ でも書いけれど、紙ベースのメディア会社がネットで少し本気を出そうとすると、こうやって斜め上に行くのはなぜだろう。トップページからアクセスされることを想定しているどころか、特定の経路からしかアクセスを認めない。どういうことなのだろう。

「掲載作品は連載終了後、同社から書籍化を検討する。」と上記のNews記事にはある。もしやクリス・アンダーソン『フリー』を読んでうっかり勘違いしてしまったのか、勘違いした人にそそのかされたのだろうか。『フリー』は基本的に内部相互補助の話を延々しているだけの本である。もしこれが俗に言うフリー戦略である場合、「マトグロッソ」のケースはアンダーソンの分類に従うと「直接内部相互補助」にあたる。つまり無料のものを餌に別の有料の物を買ってもらおうという、極めて古典的なものだ。『フリー』は期間限定ながら本文すべてをウェブから読めるようにした。似たような例に岩瀬大輔『生命保険のカラクリ』角川歴彦『クラウド時代と<クール革命>』がある。『生命保険のカラクリ』はpdfで全文無料配布をした。僕もiPhoneの『GoodReader』アプリに入れて通勤電車の中で読んだ。『クラウド時代と<クール革命>』は、書籍発売までの期間、無料でウェブサイトで読むことができた。

『フリー』と『生命保険のカラクリ』はおそらく成功事例として数えていいだろう。直接内部相互補助は、無料でモノをバラまいて別のもので金を回収する。こういった書籍の場合、ネットで本文を公開し、リアル世界の方で金を稼ぐ。『フリー』は単に無料公開分が宣伝となって売れたわけではない。『フリー』の内容そのものが、ウェブで全文無料公開という自らのプロモーション戦略を称揚しているのだ。理論にして実践。この自己言及的な構造が、『フリー』のヒットをもたらした。『生命保険のカラクリ』は、生命保険という一般的な商品を解説しつつ、ライフネット生命という自社製品のプロモーション・ブランディングも兼ねている。最悪、本が買われずpdfファイルだけ読まれても、会社や保険商品のイメージ向上につながれば御の字だ。一方、『クラウド時代と<クール革命>』はウェブでの無料公開が、単に本の宣伝にしかならない。自らのプロモーション構造を書籍の内部で称揚するわけでもなく、書籍以外のお金のパスがあるわけでもない。

そして「マトグロッソ」の場合はどうだろう。Amazonという書店の中からしか見れないというのは、確かに書籍化した後、本を売るためにはかなり好都合だろう。だがそもそもそれまで読まれ続けるのだろうか? これだけアクセス経路を限定しては、本末転倒な気がする。

WordPressでTwitterの@anywhereが使えるプラグイン

先月、Twitterによって「@anywhere」というシステムが発表された。


それ以降、具体的な情報が出てこなかったのだが、今月になって開発者向けサイトで実物がリリースされた。

@anywhere

Ustreamの画面右に、ライブへの感想をその場でつぶやき、その場で1つのストリームとして反映させるシステムがある。勝手にああいったものを想像していたのだが、どうも当たりらしい。

@anywhereをWordPressで使えるようにするプラグイン―Tw Anyware comment system

WordPress用Twitterコメントシステムプラグインリリース!
あたかもコメント投稿フォーム、コメント一覧かのような表示を、それぞれのブログエントリーに表示することが出来ます。

「Tw Anyware comment system」というWordPressのプラグインで、エントリーに対するTwitter上での評判を表示し、かつその場で感想をつぶやけるというものだ。@anywhereとTOPSYのシステムを利用しているらしい。

Twitter @Anywhereをブログのコメントシステムにする方法

ここで紹介されている方法を足した機能を持つプラグインといった感じだ。
エントリURLが長いとそのままではつぶやけないため、そこは自分で一度短縮させる必要がある。
プラグインを実際に利用する場合、ここであらかじめ自分のブログをアプリケーションとして登録しておく必要がある。
Application Nameは自分のブログの名前を入れればいい。Application Websiteには自分のブログのURLを、Organizationは空白にした。Callback URLにはひとまず自分のブログのURLを入れておいた。Default Access typeは「Read&Write」にする必要があるようだ。

登録すると、API keyが発行されるので(View your applicationというメニューから分かる)、それをWordPressのダッシュボードの「設定」→「Tw Anywhere」から入力する。自分のTwitterアカウントを入力すると、各エントリの下に自分のプロフィールを表示させておくこともできる。非常に便利そうだ。

どれだけエントリがTwitterでつぶやかれているかが一目で分かる―TOPSYのプラグイン

ほかにもこのブログにTwitter関連のプラグインを入れてみた。このエントリの右上に表示されているのが、TOPSYのプラグインだ。このエントリURLがTwitter上でつぶやかれている数が一目でわかる。RTもできる(こちらは一度Twitterのページに遷移するだけだ)。

自分のつぶやきをサイドバーに表示させる―Twitter Widget Pro

もうひとつ、自分のつぶやきをサイドバーに表示できるプラグインを入れた。Twitter Widget pro。Twitterの公式ウィジェットもあるが、色々とこちら側でいじりやすそうだったので、入れてみた。つぶやきの表示数や、@つきの発言の非表示など、細かい調整が効く。

情報の単位がエントリ単位へと戻るかもしれない

個人ブログに関しては、今やTwitterでの認知、Twitterからの流入が大きな影響力を誇っている。とくに@anywhere関連のツールやサービスが盛り上がれば、さらにブログやメディアの流通速度が上がるだろう。一時期ブログもTwitterに押され気味といった印象があるが、本来は棲み分けができるメディアのはずだ。情報の流通単位が、つぶやき一辺倒からエントリ単位へと揺り戻すことにもなるかもしれない。

日経新聞「Web刊」とリンクエコノミー

日経Web刊が昨日、スタートした。今のところ、「Web刊」というよりも、「PC&携帯刊」と呼ぶ方がふさわしい。インターネットというインフラにはのっかっているものの、これまでWebメディアが活用してきたWebの特性をスルーしているように見えるからだ。

リンクエコノミーからの離脱

日経新聞のWebサイトに飛ぶと、今でも変わらず無料で記事を読むことが出来る。だがWebサイトの構造は、従来のものと少し異なっている。

  • 右クリックが出来ない
  • 同一コンテンツ・別URLの記事が多数存在
  • 記事ページのURL末尾に長いパラメータが付く
  • ソーシャルメディアとの連携機能がない

これらの違いは、Webメディアがトラフィックを集める際に頼ってきた「リンクエコノミー」から距離を置くことを意味している。

リンクエコノミーの概念は、数年前、Web2.0の喧伝かまびすしい頃、よく見られた言葉である。Web1.0の時代は、情報を発信するのはプロフェッショナルか一部の好事家しかいない状況だった。しかしWeb2.0の時代になると、個人でも情報を発信出来るようになった。ページへのリンクをブログに貼り、そのブログエントリーがソーシャルブックマークに補足され、そうしたリンクの動きを検索エンジンが捉えて、さらにトラフィックを増大させる。個人のWeb上での活動が、リンクを増大させ、トラフィックの循環を起こす。だからこそ、メディアはWebの記事を「無断リンク禁止」などと言わず、読者に好きにさせるべきだ。なぜならその方がメディアのトラフィックがふえるのだから。そういうロジックだった。

だが日経新聞のWebサイトは、このリンクエコノミーというトラフィックの経済圏とは別の場所に存在するかのように見える。冒頭に挙げた特徴は、どれも検索エンジンからのトラフィック増加を阻害し、ユーザーによる勝手な引用を阻害し、ソーシャルメディアからのトラフィックを阻害する(いずれの場合も、「できなくしている」わけではない。「ハードルを自ら上げている」だけだ)。

広告依存モデルからの離脱

検索エンジンに対して不利な構造を取る以上、他社と似たり寄ったりの記事を書いてもトラフィックは稼げない。またソーシャルメディアからの流入もそこまで期待できない。自らのブランド力とコンテンツ力に賭けた上でのサイト構造になっている。

マスメディアの危機が叫ばれているが、景気の後退による広告収入の減少という意味での「危機」は、Webも変わらない。Webの広告費は伸びているが、Webメディアが頼ってきた純広告の売り上げは落ちている。「リンクエコノミー」によって、アクセスのサイクルは確立されたものの、その上に立つマネーのサイクルは脆弱だ。

Webメディアは、単純な広告モデルに代わる次のステップを探している。日経新聞のWeb刊は、リンクエコノミーというロジックに基づけば時代を逆行するものだが、単純な広告依存のモデルからの脱出という意味では、最新の実践と言える。

Kindleビジネスモデルの比較・まとめ

AppleによるiPadおよびiBookstoreの発表によって、日本でも電子書籍の話題が盛り上がっている。
iBookStoreの日本における対応状況はまだ不透明なままだが、Amazonが展開する電子書籍端末「Kindle」の方は、「今年10月前後」に日本語版書籍のサービスを開始するという情報が出ている。

河内孝「アマゾン・ジャパンでは今年10月前後のキンドル日本語版サービス開始を目指しているという」
http://journal.mycom.co.jp/column/media/046/index.html

Kindleも日本では端末の発売にとどまっているが、アメリカではロイヤリティの引き上げや販売価格を巡る出版社との係争など、こちらも話題に欠かない。
ただ2次情報中心で出回っているうえに、それぞれ断片的なことが多いため、一度ここでKindleのビジネスモデルについてまとめてみたい。

Kindleのビジネスモデル

実はこのエントリーを書くまで勘違いしていたのだが、話題になったロイヤリティの引き上げは、Kindle Digital Text Platform(DTP)という自費出版に近いサービスの話だ。
Engadget Japan 「Kindle DTPは、電子ブックリーダー Kindle やPC、iPhoneなどで読める電子本 Kindle Editionの「自己」出版サービス。」
つまりこれは個人や零細出版社が、自分たちの持っている版権をデジタル化して販路を創出/拡大したい場合のプラットフォームだ。
一方、iPadと競合になるようなケースは、ベストセラーを抱える大手出版社とAmazonの間のやりとりだ。最近話題になったマクミランとの争いはこちらのトピックになる。
通常のAmazon―出版社間の場合と、Amazon DTPモデルの場合、それぞれ最近大きな変化があった。以下にそれをまとめてみた。

通常のamazon―出版社間の場合

先月末、米大手出版社のMacmillanは、Amazonに対して、Kindle上での電子書籍の販売価格を15$に引き上げるよう要求した。

そして交渉の結果、Macmillanの書籍はKindle上での販売上限価格を上げる代わりに、Amazonが売り上げの30%を受け取る「エージェンシーモデル」へと変更された。

Kindle 従来モデルとエージェンシーモデルの比較

Kindle 従来モデルとエージェンシーモデルの比較

つまり、これまでAmazonはベストセラーの電子書籍が売れれば売れるほど赤字を出す状態だった。

河内孝「ベストセラーについて定価を紙製のほぼ半額と固定しているという。店頭28.95ドルの書籍の場合、出版社に14.50ドル程度を支払う。一方、キンドルは価格を平均、9.99ドルに固定しているから一冊売るごとに約4.50ドル損をすることになる。」
http://journal.mycom.co.jp/column/media/046/index.html
大原けい「出版社側にとっては、ハードカバーが売れようが、キンドル版がダウンロードされようが、同じ売上げが懐に入ってくる」
http://www.dotbook.jp/magazine-k/2010/02/03/macmillan_vs_amazon/
Macmillanは電子書籍市場のすべてをAmazonが掌握されることを嫌ったのかもしれない。ちなみに、iBookstoreも同じ出版社:販売側が70:30のエージェンシーモデルを採っている。

Kindle Digital Text Platform(DTP)の場合

そしてこちらも最近ロイヤリティの大幅な引き上げがあったAmazon DTPの比較だ。
Amazon DTP における従来モデルと70%モデルの比較

Amazon DTP における従来モデルと70%モデルの比較

表を2つに分けたように、エージェンシーモデルと70%モデルは別のプラットフォームの話だと考えた方がいい。想定されているパブリッシャーがそれぞれ違うのだ。
Amazon DTP のロイヤリティを70%引き上げたのはiPadをにらんでという話もあるが、だとするとそれはAmazon DTPのような自費出版に近いモデルをiBookstoreが用意する、という条件が付く。
iPadの発表イベントで登場した大手出版社の書籍と同じレイヤーの話ではない。

国内出版社の対応は?

冒頭に書いた通り、Kindleが日本語書籍をいつ扱うかはまだ正確には判明していない。

日本では取次を介した委託制度によって本が流通しているため、出版社は刷った本をそのまま全て一時的にだが金に換えられる。
佐々木俊尚「日販に総量規制をするという噂について」
Amazon―Kindleが黒船となって、「中抜き」を行うのではという見方もあるが、こうした現状を考えると出版社が今の市場をそのまま電子書籍に移行させることは考えにくい。

Kindleが現在アメリカで収入源としている雑誌や新聞の市場に、どれだけ日本で食い込めるかがカギになりそうだ。(ただこちらも雑誌協会が2年越しの壮大な実験を行っているなど、先行き不透明な材料もある。)

日本雑誌協会 雑誌デジタル配信実証実験「Parara」

http://www.j-magazine.or.jp/parara.html

Kindleに関するTwitter上での最新の情報

『広告のクロノロジー』

広告のクロノロジー―マスメディアの世紀を超えて―
広告のクロノロジー―マスメディアの世紀を超えて―
  • 著者: 難波功士
  • 発売元: 世界思想社
  • 発売日: 2010/01/02
  • 売上ランキング: 5503

などで知られる、難波 功士の著作。戦前―戦中―戦後の広告業界の動向を、一次・二次資料に丁寧にあたりながら紐解く。また著者が関西出身ということもあって、関東と関西の広告業界の比較、というのも面白い。

本書はその大部分をマス広告の分析に割いている。いわゆる四マスと呼ばれる、ラジオ・新聞・テレビ・雑誌の広告とそれらをめぐる広告業界の動向が中心となる。

一読して感じたのは、広告に対する「批評」という行為の難しさだった。「ブランディング」という言葉が、その効果の不明瞭さと引き換えにある種の神秘性を纏っていた時代は、終わってしまったのかもしれない。広告主がより一層費用対効果を重視する時代にあって、「広告」と「販促」の差が不明瞭になりつつあるというよりは、販促が広告の領域を侵食しているといった方が正しい。

こうした状況下で、「広告を批評すること」は極めて難しくなっている。特にインターネット上の広告は、消費者の行動を追跡したり、ユーザーの属性に合わせた広告の表示が技術的に可能であり、それらのデータに基づく効果測定・検証は、どんな批評より広告主・メディア・消費者の関係性を適切に可視化しうる。もちろん、広告主と消費者の間を何らかのストーリーが存在し、そこに広告が入りこむという考え方は今でも健在だが、その主役はソーシャルマーケティングに移りつつあり、そしてそれはかつての広告が成しえなかった、双方向的な関係に基づくストーリーという役割を担わされている。広告を語ることがすなわち企業と消費者、社会と消費者の関係性を語ることであったのは、実にある時代特有のものだったのだろう。

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